オーストラリアの永住権は、オーストラリア政府発表の職業リストに記載されている職業に就くと取得しやすくなります。将来的にオーストラリアの永住権を取得したいと考えているなら、職業リストについて調べておくことが重要です。
そこで今回は、オーストラリアの永住権取得に関わる職業リストについて解説します。
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【オーストラリア】永住権取得に関わる職業リスト3つ
オーストラリア政府発表の職業リスト(Skilled occupation list)に記載されている職業に就くことは、永住権取得に大きく影響します。
労働力不足を補うために移民を受け入れているオーストラリアでは、永住権の審査の際に人材不足の職業に就いている労働者が優遇されるためです。
職業リストには「MLTSSL」「STSOL」「ROL」の3種類があり、職業の必要度に応じて各リストに分類されます。リストごとに永住権取得の難易度が異なるので、各リストの詳細を把握しておきましょう。
参考:「Skilled occupation list」(Australian Government)
1.MLTSSL(中長期戦略技能リスト)
MLTSSL(Medium and Long-term Strategic Skills List=中長期戦略技能リスト)とは、オーストラリアで中長期的に必要とされる、需要が高い職業のリストです。
必要度が高いため、MLTSSLに記載されている職業に就くと、永住権が取得できる可能性が高まります。州や地方、雇用主などのスポンサー不要で永住権を申請できるのもメリットです。
ただし、MLTSSLに記載されている職業に就職して永住権申請の資格を得るには、「ポイントテスト」の基準点(65点)をクリアする必要があります。
ポイントテストとは、英語力や学歴・学位、年齢などをポイント化したものです。永住権を申請する職業のオーストラリア国内・国外での勤務経験もポイントに反映されます。
例えば、英語力ではIELTS7.0で10ポイント、8.0では20ポイントに区分されています。年齢では18歳~24歳で25ポイント、25歳~32歳で30ポイントです。33歳~39歳は25ポイント、40歳から44歳では15ポイントになります。
2.STSOL(短期技能職業リスト)
STSOL(Short-term Skilled Occupation List=短期技能職業リスト)とは、オーストラリアで短期間需要が高まる職業のリストです。
STSOLに記載されている職業に就くと最長2年の就労ビザを取得できますが、州や地方、雇用主などのスポンサーを得なくてはなりません。
また、短期的に需要が高まる職業のリストであるため、内容が変更される頻度が高く、STSOLに記載されている職業では永住権取得が難しい現状があります。
3.ROL(地域職業リスト)
ROL(Regional Occupation List=地域職業リスト)とは、オーストラリアの地方で必要とされている職業のリストです。
オーストラリアはコロナ禍以降深刻な人手不足に悩まされており、地方都市では特に観光業・農業・鉱業などに従事する労働者が不足しています。
ROLはこうした地方の人手不足を補うための職業リストであり、MLTSSLよりも幅広い職業が記載されているのが特徴です。
MLTSSLに記載されている職業に就職して永住権申請の資格を得るには、指定の地方に滞在し、地方政府のスポンサーを得る必要があります。
ROLと地方政府は、掲載されている職種に就き、対象のエリアで働く人材に対して州政府が永住権のスポンサーになる関係です。
職業リストに載っている7つの職業をピックアップ!
ここでは、オーストラリア政府発表の職業リストに記載されている職業を7つ紹介します。ただし、職業リストに記載される職業は需要に応じて変更されることがあるので、オーストラリア政府が公開している情報も確認するようにしましょう。
参考:「Skilled occupation list」(Australian Government)
シェフ(調理師)
シェフはMLTSSLに記載されている職業です。飲食店やケータリング施設でのメニュー開発・調理のほか、食材の注文、品質・衛生管理、調理技術や衛生面の指導なども業務に含まれます。
オーストラリアではホスピタリティ・サービス業界の人材の需要が急増しており、特にシェフの人手不足が深刻なので、就職先が見つかりやすいでしょう。
ただし、シェフとして働きながら永住権取得するには、それなりのスキルと経験が必要です。一般的なケースでは、調理師コースで2年間学び、卒業ビザを取得した後、永住ビザを語学やスキルなどで取得するポイントによって申請する方法があります。
ほかには、雇用主にスポンサーになってもらいMLTSSL職にて3年間働いた後、永住ビザを申請する方法です。
ただ、経験を積む上で語学はどうしても必要になるため、ひとまずオーストラリアの学校でCertificate Ⅳ(短大卒前レベル)以上のコース修了を目指すと良いでしょう。
医療系の職業
オーストラリアでは医療従事者も不足しており、医師・看護師・放射線技師などの医療系の職業もリストに記載されています。リストの種類は職業によって異なるので、希望の職業がどのリストに分類されているのかを確認しておきましょう。
【MLTSSL】
・一般開業医(病気・ケガの診断・治療・予防を行い、必要に応じて専門医に紹介する医師)
・皮膚科医
・消化器科医
・救急医療専門医
・心臓専門医
・心臓胸部外科医
・臨床血液科医
・医療放射線診断技師
・医療放射線療法士 など
【STSOL】
・歯科専門医
・正看護師 など
【ROL】
・麻酔科医
・歯科医
・救急隊員 など
オーストラリアで医師や看護師などとして働くには、Bachelor(大卒レベル)以上の学位が必要です。
日本で医療関連の資格を取得し、実際に勤務した経験がある場合は、オーストラリアの教育機関に修学しなくても資格を取れるケースがあります。いずれにしてもIELTS7.0以上のハイレベルな英語力を身に付けなくてはなりません。
教育系の職業
チャイルドケアセンターマネージャーやチャイルドケアワーカーなどの、子どもと接する仕事も職業リストに記載されています。
保育士や幼稚園教諭にあたる職業ですが、日本よりも時給が高いのが特徴です。また、オーストラリアは多くの移民を受け入れている多文化主義国家であるため、国籍や文化が異なる子どもたちと触れ合えるという魅力もあります。
チャイルドケア関連の仕事で永住権取得を目指すなら、Diploma(短大卒レベル)以上の学位を取得しておいたほうが良いでしょう。
エンジニアリング系の職業
日本で人手不足が叫ばれているIT人材ですが、オーストラリアもIT人材不足に悩まされています。
特にエンジニアが足りておらず、日本よりも待遇が良いうえに永住権取得向けのビザの取得が比較的容易なので、IT関連のスキルがある方におすすめです。MLTSSLに記載されているIT関連の職業には、以下のようなものがあります。
・システムエンジニア
・エレクトロニクスエンジニア
・ソフトウェア・アプリケーションプログラマー など
また、航空エンジニアや農業エンジニアなど、IT関連以外の分野のエンジニアも職業リストに記載されています。
士業系の職業
弁護士・税理士・会計士などの士業もMLTSSLに記載されています。ただし、日本で取得した士業の資格はオーストラリアでは通用しません。オーストラリアの教育機関で学び直し、オーストラリアの資格を取得する必要があります。
なお、USCPA(米国公認会計士)などの相互承認協定がある資格を取得している場合は、所定の要件を満たせばオーストラリアの会計士の資格を得られます。
建築系の職業
職業リストは建築・建設関連の職業も豊富です。例えばMLTSSLには建築家や煉瓦工、大工など、ROLには建築・土木技術者や測量技術者などの職業が記載されています。
建築・建設関連の職業は専門スキルが必要ですが、なかにはCertificate Ⅲ(高卒・専門卒レベル)でOKの職業もあるので調べてみると良いでしょう。
機械系の職業
オーストラリアではあまり自動車は製造されていませんが、自動車やバイクの保有率は高めです。しかし、自動車やバイクの整備ができる人材が不足しているため、整備士は永住権の審査で優遇される傾向にあります。
オーストラリアで整備士などの機械系の職業に就きたいなら、Certificate Ⅳ(短大卒前レベル)以上のコース修了を目指すと良いでしょう。
気になる職業が職業リストにない場合はどうすれば良い?
いろいろ調べてみたものの、興味がある職業がリストに記載されていないこともあるでしょう。ここでは、職業リストに記載されない職業が存在する理由と、希望の職業が見つからない場合の対処法を解説します。
職業リストに気になる職業がないのはなぜ!?
オーストラリア政府発表の職業リストには、オーストラリアで人手不足に陥っている職業が記載されています。具体的には現地の人に人気がない職業、人気があるものの需要が高く人手が足りていない職業、高難易度の職業などです。
これらの職業は、オーストラリア国外の人にとってもあまり魅力的でなかったり、難易度が高すぎたりする場合があります。
また、職業リストが国内の需要に応じて変更されることもあるため、「職業リストのなかに気になる職業やチャレンジできそうな職業がない」という事態が起こることがあるのです。
気になる職業がない人におすすめなのは!?
オーストラリアの職業リストに気になる職業がない場合は、ひとまず留学やワーキングホリデーでオーストラリアに滞在してみるのもひとつの方法です。
留学やワーホリを通して英語力や経験が身に付けば、気になる職業や「これならチャレンジできそう」という職業が見つかるかもしれません。
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まとめ
オーストラリアでは、政府が公開している職業リストに記載されている職業に就くと、永住権の審査が有利に進みます。いずれ永住権を取得したいと考えているなら、職業リストをチェックしておきましょう。
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