オーストラリアのソーシャルワーカーとは?仕事内容・資格・年収・大学留学まで解説

オーストラリアのソーシャルワーカーは、個人や地域の生活課題・社会的障壁の解決を支援する、大学教育を受けた専門職です。

役割は相談業務にとどまらず、ケースワークや権利擁護、政策立案など多岐にわたり、病院や学校、政府機関で活躍します。

本記事ではAASWなどの公式情報をもとに、仕事内容や資格制度、年収、進学ルートまで分かりやすく解説します

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オーストラリアのソーシャルワーカーとは?

Family Social Worker Jobs

オーストラリアのソーシャルワーカーは、個人や地域の生活課題・社会的障壁の解決を支援する、大学教育を受けた専門職です。

役割は相談業務にとどまらず、環境の整理やケースワーク、権利擁護、政策立案など多岐にわたり、病院や学校、政府機関などで活躍します。

なお、AASW(オーストラリア・ソーシャルワーカー協会)とは、国内の教育コース認定や倫理基準の設定、永住権申請に必要な職業査定(Skills Assessment)を担う職能団体です。AASWはソーシャルワークを「人々のよりよい生活とウェルビーイングを支援する大学レベルの専門職」と定義しています。

ソーシャルワーカーは相談者本人だけでなく、家族・住居・経済状況・制度など取り巻く環境全体に働きかけるのが大きな特徴です。例えば家庭内暴力の相談では、気持ちを聴くだけでなく、避難先や経済支援、法律相談、行政サービス等をつなぎ、本人の権利を代弁します。さらに、地域支援プログラムの企画や福祉政策の改善、調査研究まで幅広く携わります。

日本の「社会福祉士」と完全に同じ資格ではない

日本では「社会福祉士」は、法律に基づく名称独占の国家資格です。

一方、オーストラリアのSocial Workerは、日本の「社会福祉士」と一対一で対応する国家資格制度ではありません。オーストラリアでは専門団体であるAASW(オーストラリア・ソーシャルワーカー協会)が教育や倫理の基準を定めており、AASWが認定する大学(学士)や大学院(修士)を修了することが、専門職として働く主なルートになっています。

2026年現在、オーストラリア全国でソーシャルワーカーに法律上の公的登録を義務づける制度はありません。AASW自身もオーストラリアのソーシャルワークを「自主規制の職業(self-regulating profession)」と説明しています。

なお、南オーストラリア州では独自に法定登録制度の導入準備が進められていましたが、州政府は2026年6月、生活費高騰への配慮や業界の負担軽減を理由に「登録制度を開始しない(中止する)」と発表しました。

そのため、「オーストラリアでソーシャルワーカーとして働くには、絶対に公的機関へ登録しなければならない」と一律に説明するのは正確ではありません。

ただし、多くの求人では「AASW認定コースの修了」や「AASW会員資格の該当性」が採用条件とされています。さらに、ビザ申請や永住権を目指す際の職種査定(Skills Assessment)ではAASWの審査が必須となるため、留学生は「どの福祉コースでもよい」わけではなく、AASW認定コースかどうかを必ず確認することが重要です。


参照元:
Monash Lens: Regulating social workers in Australia (2026年8月)
AASW Official Statement: AASW responds to SA Government decision on Social Workers Registration Scheme (2026年6月20日)
South Australian Department for Child Protection: Update on Social Workers Registration Scheme (2026年6月)
Protecting our most vulnerable: Does Australia need a social worker registration scheme?

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オーストラリアのソーシャルワーカーの主な仕事内容

What Are the Licensed Social Worker Requirements?

ソーシャルワーカーの具体的な仕事内容は勤務先によって異なりますが、オーストラリア政府機関のJobs and Skills Australiaや専門団体AASWの情報によると、主に次のような業務があります。

1. 相談者の状況をアセスメント(評価・整理)する

本人や家族との面談を通して、どのような悩みを抱えているのか、利用できる支援や本人の強みは何かを詳しく整理します。

生活上の問題は一つだけとは限りません。「失業をきっかけに家賃が払えなくなり、メンタルヘルスにも影響が出ている」といったように、複数の問題が複雑に絡み合っているケースが多くあります。ソーシャルワーカーは、表面的な問題だけでなく背景までしっかりと確認し、必要な支援を考えます。

2. カウンセリング・ケースワークを行う

個人や家族と継続的に関わり、課題を整理しながら解決策を一緒に探していきます。

AASWでは、支援方法として「1対1のカウンセリング」「ケースワーク」「グループワーク」などを挙げています。ただし、ソーシャルワーカーの仕事は気持ちに寄り添う心理カウンセリングだけではありません。社会制度や専門サービスを活用し、相談者の生活環境そのものを改善することも大切にしています。

3. 必要な福祉・医療・住宅サービスにつなぐ

相談者が利用できる行政サービス、医療機関、住居支援、雇用・経済支援、地域コミュニティなどを調べ、適切な窓口へ案内・接続します。

必要に応じて紹介状や支援文書を作成したり、医師・看護師・行政担当者など他職種や外部機関と連携してサポートします。

4. 権利擁護(アドボカシー)を行う

家庭内暴力(DV)、住宅問題、貧困、差別、法的トラブルなどを抱える人の権利を守るため、本人と一緒に、または本人に代わって関係機関へ働きかけます。

ソーシャルワークは単に「困っている人を個別に助ける」だけでなく、社会的な不平等や制度上の障害・壁を取り除くよう働きかける専門職でもあります。

5. 地域開発・政策・研究に関わる

ソーシャルワーカーは、毎日クライアントと面談する現場業務だけを行うわけではありません。

地域の孤立を防ぐプログラムを企画・運営したり、福祉政策の立案に関わったり、行政機関やNPOで調査研究を行って制度改善を目指すような仕事もあります。

参照元:
Jobs and Skills Australia: Social Workers (ANZSCO 2725) Official Profile
AASW Official Website: AASW Practice Standards

ソーシャルワーカーが支援する主な分野

AASWによると、オーストラリアのソーシャルワーカーは非常に幅広い社会課題に関わっています。

分野

支援の例

メンタルヘルス

心理社会的な支援、医療や地域サービスとの連携

児童・家族

児童保護、家庭支援、子育て支援

障害・NDIS

社会参加、サービス利用、機能・生活環境に関する支援

DV・家族暴力

安全確保、避難先、法律・福祉サービスとの連携

住宅・ホームレス

住居確保、生活再建、行政サービスへの接続

高齢者・緩和ケア

高齢者本人と家族への相談支援

アルコール・薬物・依存

回復支援、地域資源への接続

難民・移民

制度利用、生活定着、権利擁護

学校・教育

生徒・家庭の相談支援、学校内外の連携

政策・地域開発

制度設計、調査、コミュニティ支援

「福祉施設で働く人」というイメージよりも、実際の職域はかなり広いと考えておくとよいでしょう。

オーストラリアのソーシャルワーカーはどこで働く?

専門団体であるAASW(オーストラリア・ソーシャルワーカー協会) や政府機関の Jobs and Skills Australia によると、ソーシャルワーカーの勤務先は多岐にわたります。主な職場として以下のような機関や団体が挙げられます。

主な勤務先・職場例

  • 医療・健康:総合病院、リハビリテーション施設、メンタルヘルス ét 相談センター

  • 行政・公的機関:連邦政府・州政府・地方自治体、児童保護機関、裁判所関連施設

  • 教育:小学校・中学校・高校、大学、研究機関

  • 福祉・専門サービス:障害者支援(NDIS関連)、高齢者介護施設、DV(家庭内暴力)・性暴力被害者支援団体

  • 生活支援・コミュニティ:住宅・ホームレス支援団体、難民・移民定着支援センター、薬物・アルコール依存症回復施設

  • 非営利・民間:NPO・NGO、コミュニティ団体、民間の相談・カウンセリング事務所(Private Practice)

ポイント

ソーシャルワークで学んだ知識やスキル(アセスメント、対人支援、制度連携、権利擁護など)は、医療、教育、福祉、行政、NPOに至るまで幅広い業界で応用可能です。就職先がひとつの業種に限定されない柔軟性の高さも、オーストラリアでソーシャルワーカーを目指す大きな魅力・メリットと言えます。


参照元:
AASW: Where social workers work
・Jobs and Skills Australia: Social Workers (ANZSCO 272511)

「Case Manager」「Counsellor」という肩書きなら全員ソーシャルワーカー?

答えは「必ずしもそうではない」です。

専門団体であるAASW(オーストラリア・ソーシャルワーカー協会)によると、ソーシャルワークの資格を持つ人が、職場によって以下のようなさまざまな肩書き(職種名)で働いているケースが多くあります。

  • Counsellor(カウンセラー)

  • Case Manager(ケースマネージャー)

  • Mental Health Clinician(メンタルヘルス専門員)

  • Community Worker(地域福祉スタッフ)

  • Housing Worker(住宅支援スタッフ)

  • Youth Worker(青少年支援スタッフ)

  • Wellbeing Coordinator(ウェルビーイング調整員)

  • Child Protection Officer(児童保護官)

しかし、「同じ肩書きで働いている人が全員、AASW認定のソーシャルワーク資格を持っている」わけではありません。例えば、Case Managerの中に心理士や看護師、その他の福祉資格を持つ人が含まれていることもあります。

つまり、次のように整理できます。

  • 「求人の仕事名にSocial Workerと書いていない=ソーシャルワーカーの仕事ではない」とは限らない

  • 「Case Managerと書いてある=ソーシャルワーカー資格を持つ人の仕事」とは限らない

オーストラリアでソーシャルワーカー向けの求人を探す際は、役職名(Job Title)だけでなく、応募条件(Requirements)をしっかり確認しましょう。条件欄に「Social Work degree(ソーシャルワークの学位)」「AASW eligibility(AASW会員資格の対象であること)」などが明記されているかが重要な判断ポイントになります。

参照元:
AASW: Scope of Social Work Practice
AASW: What is Social Work?

オーストラリアのソーシャルワーカーの年収・需要

オーストラリア政府機関のJobs and Skills Australiaが公開している「Social Workers(ANZSCO 2725)」の公的統計データでは、次のような指標が案内されています。

項目 公的データ(概数値)
就業者数 約47,400人
年間雇用増加 約1,700人
パートタイム比率 約32%
女性比率 約84%
フルタイムの週給中央値 A$2,172
時給中央値 A$57
フルタイム平均労働時間 週40時間

週給中央値のA$2,172を52週(1年間)で単純換算すると、年収約A$112,944(約1,100万円超)となります。

ただし、これはオーストラリア国内全体の平均的な給与水準を示す統計であり、「すべてのソーシャルワーカーが最初からこの年収を得られる」わけではありません。経験年数、役職、勤務地域、勤務形態(公立病院、NPO、民間等)によって実際の給与は変わります。

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オーストラリアでソーシャルワーカーになるには?

オーストラリアで専門職のソーシャルワーカーを目指す場合、基本となるのはAASW(オーストラリア・ソーシャルワーカー協会)が認定する大学・大学院のコース(AASW Accredited Courses)を修了することです。

AASWが認可している代表的な資格取得ルートは以下の2つです。

進学ルート 一般的な期間 向いている人
Bachelor of Social Work(学士課程) 約4年間 高校卒業後、基礎から専門的に学びたい人
Master of Social Work (Qualifying)(修士課程) 約2年間 すでに他分野(社会科学・心理学等)の大学を卒業している人

AASWは、学士(Bachelor)と修士(Master)のどちらであっても、専門職(Entry-level)への入口として同じ基準で資格認定を行います。

実習(現場研修)の重要性

ソーシャルワーク教育では、座学だけでなく現場実習が不可欠です。AASWの認定基準では、合計1,000時間以上の実習(Field Education)を2つ以上の異なる環境で受けることが必須とされています。

講義のみで取得できる資格ではないため、留学計画を立てる際は学費だけでなく、無給で行われることが多い実習期間中の生活費やスケジュールの確保も考慮しておく必要があります。

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TAFEやCommunity ServicesのDiplomaだけでSocial Workerになれる?

結論から言うと、Diplomaだけでソーシャルワーカー(272511)になることはできません。

AASWが専門職資格として認めているのは、大学・大学院レベル(学士または修士)の認定学位のみです。そのため、TAFEや専門学校で「Diploma of Community Services」などを取得しても、それ単体でAASW認定のソーシャルワーカー資格と同等に扱われることはありません。

ただし、専門学校(TAFE等)でDiplomaを取得した後に、提携している大学の「Bachelor of Social Work」へ編入・単位互換(Pathway)して学習期間を短縮できるコースが用意されている場合があります。「まずは費用やハードルを抑えてTAFEからスタートしたい」という方は、最終的にAASW認定の大学学位へ編入できるルートがあるかを事前に確認しておきましょう。

参照元:
Jobs and Skills Australia: Social Workers (ANZSCO 2725)
AASW: Accredited Higher Education Programs
AASW: International Qualification Recognition

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まとめ|オーストラリア留学ならMirai Bridge

オーストラリアのソーシャルワーカーは、相談支援に加え、医療や住宅等の制度と接続し生活再建を支える専門職です。個人支援にとどまらず、地域開発や政策提言などを通じて社会改善にも貢献します。

目指す際は、AASW認定コース(学士・修士)の選択、英語条件、1,000時間の実習計画、卒業後の職種査定やビザ要件まで視野に入れて準備を進めましょう。

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